カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
帯は金と白が基調のデザインで、帯あげは黄緑色だ。差し色がよく映えている。
これは、若旦那の好みなのだろうか?会う前から自分色に染め上げようとされているみたいで複雑な心境であったが、とやかく言う権利はない。
美澄屋が特注で用意してくれた着物に袖を通せるだけで光栄だ。
仲介者の女性に連れられて、ついに襖の前に着いた。
この向こうに、未来の旦那がいる。
「失礼します。天沢さまがご到着されました」
「どうぞ」
中から少ししわがれた低い男性の声が聞こえた。美澄屋の大旦那だろうか。前にいた父と母にも緊張が走る。
静かに視界が開けた。
重厚な木のテーブルと、並ぶ座布団が目に映る。上座には大旦那、隣に女将がいた。そして、一番手前に座っていた男性を見た瞬間、はっとする。
噂の若旦那は、濃紺の着物を着こなした美しい男だ。
涼しげな二重のキリッとした目と筋の通ったシャープな鼻、漆黒のサラサラな髪はどこか既視感がある。
あれ?