カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~

 初めて会うはずなのに、どうしてこんなにモヤモヤするんだろう。どこかですれ違ったのかしら。


「本日はよろしくお願いいたします」

「いえいえ、こちらこそ」


 両家の挨拶から、徐々に和やかな会話が交わされていく。本人たちよりも、親同士が盛り上がっているのが、今回の見合いをよく表していた。


「桃、ちゃんと挨拶しなさい」


 母親のパスに、はっとして頭を下げる。


「初めまして。天沢 桃と申します。よろしくお願いいたします」

「ふふ、可愛らしいお嬢さんね。ウチは男ばかりだから、女の子とお話ができるのは嬉しいわ」


 キツめの母と違い、優しい雰囲気の漂う女将が目元を緩めた。隣の大旦那もニコニコしている。

 目の前の男性と目があった。凛としたオーラに圧倒されていると、形の良い薄い唇がゆっくりと開かれる。


「桃さん、ですね。僕は美澄 千里と申します」

「せんり……?」

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