カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


「お客さま、どうされましたか」

「あ?誰だお前」

「この店の責任者です」

「責任者ぁ?わっけえなぁ。こんな若造がトップなのかよ」


 馬鹿にする口調の男性客は、頭から爪先までじろじろ視線を動かしている。態度が悪いが、若旦那は表情ひとつ変えない。

 店内にいた他の客も、従業員も、ピリピリとした空気に不安そうな顔で様子をうかがっている。


「このお姉ちゃんが、俺に出て行けって言ったんだ。おまけに服まで濡れちゃってさぁ、最悪だよ。どういう教育してんの、あんた」

「不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。ただ、呉服屋への飲食の持ち込みは禁止とさせていただいておりますので、よろしければ近くのフードコートまでご案内いたします」

「あん?どこで飲んだって俺の勝手だろ。キレーな着物が見たくて来てやったんだ。黙って出ていくわけには行かねえよ。せめて、クリーニング代くらいもらわねえとな」

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