カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
なにがなんでも、いちゃもんをつけてお金を取ろうとしているようだ。タチが悪すぎる。
千里さんはどんな罵倒を浴びせられても真摯な対応を崩さない。思いどおりにいかず、苛立った客は貧乏ゆすりをしながら声を上げた。
「お前と話していてもラチがあかねえや。おい、お姉ちゃん。金はいいから、あんたがシャツを洗え。今からトイレでも水道でも来れるだろ」
騒ぐ男性は怒りがおさまる気配がなく、ついに女性従業員に手を伸ばす。
暴力的な動きに息が止まりそうになった瞬間、今まで頭を下げて対応していた千里さんの態度が一変した。
「大変恐縮ですが、これ以上は他のお客様のご迷惑になりますので、今すぐここを出て行っていただけますか」
「は……、はぁ?」
千里さんは、女性従業員を庇って客の腕を掴んでいる。
ギョッとした客も、泣きそうな彼女も、その場にいた全員が若旦那へ視線を向けた。