カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


 すごい。あっという間にトラブルを解決してしまった。

 隣で、鳴海くんが無意識に出たように「かっこよ……」と呟く。

 私の心に浮かぶ言葉も同じだった。

 事を荒立てないように謝罪をしながらも、毅然とした態度で店を守ってみせた。完璧すぎて非の打ち所がない。

 それに、私は酔っ払いをひとめでタチの悪い男だと決めつけて嫌な顔をしたが、千里さんは最後までひとりのお客さまとして接していた。

 どんなときも余裕を持って、感情的にならずに接客をする強い意思を感じる。いざというときに素早くトラブルの渦中に出向き、店を守る覚悟があるように見えた。

 かりそめの旦那になった彼は簡単に嘘をつく軽い男だと思っていたのに、仕事には責任を持って、こんなに真面目に取り組む人なんだ。

 冷静に対応する姿は、どこからどう見ても頼れる若旦那だった。従業員達も、彼をとても信頼しているのが伝わってくる。


「ごめん、結構待たせちゃった」

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