カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
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「はい、着いたよ」


 コンビニでお泊りセットを簡易的に揃えて駐車場に車を停めると、目の前に見えたのは大きな日本家屋だった。

 ここが、千里さんのお家?

 瓦屋根に漆喰塗りの壁、風情を感じる鎧張りは、都会でお目にかかれるとは思わなかった。なんとなくノスタルジックな気分になる。

 ひとり暮らしだと聞いていたので、てっきりマンションを借りているのかと想像していたが、いい意味で裏切られた。

 目隠し格子戸の玄関から入ると、どこまでも続く廊下に感嘆の声が出る。縁側や坪庭は日本家屋ならではの造りで、とても趣があった。


「とても広いお家ですね」

「通勤に便利な立地にあるから、祖父母の所有していた家をもらったんだ。週に三回家政婦を雇っているから、使っていない部屋も綺麗だと思うよ」


 たしかに、この家をひとりで掃除するとなれば相当な労力だろう。家政婦を雇うのも頷ける。見ると空調も完備されており、とても管理が行き届いていた。

 連れられるがまま廊下を進んで和室に入ると、畳のいい匂いがする。

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