カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


 それに、浴衣は襟を抜くものだと思っていたが、なんだか不格好になってしまう。丈も少し長く、引きずらないように調節しようにも、おはしょりをうまく作れない。

 こんなので呉服屋の女将になるだなんて恥ずかしくて言えないな。

 そのとき、トントンと扉が叩かれる。


「桃、上がった?ちょっといいかな」

「えっ。ま、待ってください。今は……」


 止めたものの、ガラリと開く引き戸。脱衣所で試行錯誤していた私と、切れ長の瞳の目が合った。

 一瞬目を丸くした千里さんは、数秒の間の後にぷはっと吹き出す。


「ぶかぶかというより、乱れてるように見えるね。そんなに無防備に肌をのぞかせていると、暴きたくなる」


 遠回しな“見るに堪えないほど酷いので脱がしたい”発言に、全身の体温が上昇した。思わず背を向けて縮こまる。

 恥ずかしい。穴があったら入りたい。

 楽しそうに品のある微笑を浮かべた彼は、私を背後から抱きしめた。

 え?今、なにが起きているの?

 一気に体が熱い。すっぽりと包まれているため、改めて体格差を感じる。

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