カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
「男物と女物の着物は、大きさだけが違うと思ってた?」
「あの、近いです」
「ふふ。呉服屋の若旦那として、せっかくだし色々教えてあげようか」
つぅっとうなじを撫でられ、体が震えた。
「旅館の浴衣を想像していたのなら、全くの別物だよ。男物の着物は、女物とは根本的に型が違う。襟を抜くようにできていないから、後ろから引かなくていい」
ほどよく筋肉質なたくましい腕が腰に回された。密着度が増して心臓がうるさい。
曲がった帯と袖に触れる彼は、笑いを堪えているようだ。
「帯は低めの位置で結ぶようにできているんだ。袖も切れ目なく縫われているから、女物と違って振れる袖がない。あと、おはしょりを作るのは女性だけだから、男物の浴衣では上手くできないと思うよ」
そうだったのか。
たしかに、言われてみれば男性の方が帯が細く、腰骨の辺りに巻いている気がする。
帯を高い位置で結べないせいで、胸元がひどく無防備だ。上から覗き込まれたら見えるだろうし、緩い襟は、はだけやすい。
それに、脇の下も袖の内側と一緒に縫われているため袖が大きなトンネルになっており、腕を上げただけで脇から下着が丸見えだ。