カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


 私は、まだまだ知識不足だ。

 老舗呉服屋に嫁ぐと決まったからには、千里さんの生きる世界に触れて、その中で自分がしっかりと立っていられるように根をはらなければいけない。

 重圧を背負って後世に美澄屋を残そうとしている若旦那の支えになるんだ。


「やっぱり、桃は真面目で芯が強い子だね」

「そうですか?」

「うん。家出をしてぐずっていた女の子とは別人みたいだ」


 私が変われたのは、仕事に真摯に向き合うあなたに影響を受けたからなんですよ?

 少し恥ずかしくてそこまでは言えなかったけれど、なんだか認められた気がして嬉しかった。


 この日から徐々に引っ越しの準備を進め、職場の田城不動産にも話をつけた。

 順調に引き継ぎを終えて快く送り出され、ついに月末から千里さんの受け持つベリーヒルズビレッジの店舗で働くことになったのである。

 初めは研修という形で教育係には鳴海くんが決まった。

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