カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


 たしかに、ひとりよりも千里さんが側にいてくれれば心強い。茶会当日まではまだ時間があるし、マナーや所作を覚えるには十分だ。


「お誘いありがとうございます。ぜひ、うかがわせていただきます」

「本当?嬉しい。当日がもっと楽しみになったわ」


 明るい表情で目を細めた美冬さんは、とても嬉しそうだ。長年美澄家と付き合いのある彼女に受け入れられた気がして、ほっとする。

 それからというもの、帰宅後の勉強時間は、着物から茶道のマナー講座になった。

 千里さんの家には、彼の祖父が茶会教室を開いていたときに使っていた小さな茶室があり、実践練習をするには持ってこいである。


「お茶を渡されたら、お辞儀をするんだ。お茶碗は、正面を避けて口をつけて」

「この、絵付けのあるところが正面ですか?」

「そう。あと、お茶の前にお茶菓子をいただくのが作法だから、交互に食べないでね。急がなくてもいいけど、お茶が出されるタイミングで食べきると亭主への敬意が伝わるよ」

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