カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
順を追って丁寧に教えてくれるため、とてもわかりやすくて頼りがいがある。マンツーマンで指導をしてくれるなんて、贅沢だ。
「緊張しなくても大丈夫。当日頭が真っ白になったら、隣にいる俺の真似をすればいい」
気軽に参加するなんて言って大丈夫かと少し心配していたが、指導のおかげでなんとか形にはなりそうだ。
美澄家と繋がりのある招待客に挨拶をするという目的もあるし、この機会を生かして立派に若旦那の妻として務めあげよう。
そして、ついに茶会を二日後に控えた金曜日となった。持ち物も揃え、準備は万端だ。
フォーマルな場といえど、ふたりでどこかへ出かけるのは居酒屋でのご飯以来久しぶりなので、少し浮かれてしまう。
部屋で、当日着ていく予定で実家から持ってきた着物を確認していると、ふすま越しに声をかけられる。
「桃、今いいかな」
「はい、大丈夫です」
返事をすると、静かにふすまが開いた。その表情はどこか暗い。
畳に腰を下ろすと、頭を下げられる。