カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
『あ、もしもし。おはようございます。朝っぱらから急にすみません』
「鳴海くん?電話なんてどうしたの?」
『さっき美澄さんが来て、自分は会う時間がないから、代わりに桃さんに渡してくれって着物を預かったんです。今から店に来られますか?』
千里さんが、着物を?
もしかして、一緒に行けなくなった代わりに、茶会用の着物を用意してくれたのだろうか。家にも帰れないほど忙しいはずなのに、私ためにわざわざ準備をしてくれたんだ。
その心遣いに、胸がきゅんとした。会えなくても、背中を押してくれる千里さんの顔が目に浮かぶ。
「わかった、今すぐ向かうね。連絡ありがとう」
電話を切って、急いでベリーヒルズビレッジに向かった。テナントはまだ営業時間前で、従業員入り口から美澄屋へまわる。
店には鳴海くんだけが来ていて、長襦袢や補正のタオルが並べてあり、すぐ着付けができるように準備してくれていたようだ。