カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
改めて考えてみると、家以外ではあまり交流がない。
帰ってからも着物や茶会の勉強など、仕事についての話で時間を割くことが多いため、あまり夫婦らしく過ごしてはいないだろう。
本音を言えば、もう少しふたりで出かけたりもしたいけど、忙しい彼にあまり無理は言えない。
それに、鳴海くんに言われて初めて、好きとは一度も伝えられた記憶がないと気づいた。
一つ屋根の下で生活をする婚約者同士、向こうは私をどう思っているんだろう。
「……前から思っていたんですけど、桃さんと美澄さんって、ふつうの夫婦とは違う感じしますよね」
「違う?どういう意味?」
「桃さんは旦那にずっと敬語だし、美澄さんは聞こえのいいセリフで本心を隠しているようで……ふたりは本気で愛し合っているとは思えません」
ツキ、と心が痛んだ。
つまり、上辺だけを取り繕った他人行儀な夫婦に見えると言いたいのだろう。