カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
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 初めての駅に降り立ち、地図アプリを開きながら目的地を目指す。遅延もなく、鳴海くんのおかげで早く店を出られたため、時間にはまだ余裕があった。

 最寄りの駅は都市部への乗り換えが便利な立地にあり、ロータリーは商業店で栄えていた。

 そういえば、この近くにある老舗の百貨店にも、美澄屋のテナントが入っていた気がする。

 今ごろ、千里さんは商談中かな。

 事業の成功にむけて奔走しているであろう若旦那の姿が脳裏をよぎり、気合を入れ直した、そのときだった。


「桃!」


 突然、大きな声で呼び止められる。

 聞き覚えのある声に驚いて振り向くと、駅からスーツの男性が駆けてくるのが見えた。それは、たった今頭に思い浮かべていた人だ。


「千里さん、どうしてここに?」

「メールを見て、もしやと思って抜けてきたんだ。間に合ってよかった」


 状況が掴めないが、動揺する私をよそに、力強い腕が肩を抱く。


「近くにホテルを取ってある。お互い時間がないから、急いでついてきて」

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