カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
袖を通すのも緊張する上質な品にドキドキする。
ぽん、と着物を見繕って贈ってくれるが、本来は簡単に手が出せない高級品だろう。
迷惑をかけてしまったうえに、返せるものなどないため申し訳なく感じたが、「俺が自分の手で綺麗にしてあげたいと思ってやっているんだから、素直に受けとって」と告げられ、とても贅沢で甘やかされている気分になる。
手際良く着付けを手伝ってくれたおかげで、ひとりのときよりも半分の時間で済んだ。
「ありがとうございます。千里さんが来てくれなかったら、美澄屋の看板に泥を塗るところでした」
「いや、気にしないで。俺のほうこそ、桃をひとりで行かせてごめんね」
「大丈夫です。この着物があれば、いつも側に感じられるので」
少し照れくさいながらも素直に伝えた私に、千里さんは目を細める。
すると、小さく口角を上げた彼は意地悪な顔で言葉を続けた。
「ところで、俺の前ではずいぶんとためらいなく脱げるようになったね」