腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
全く反省してないよね?
もう! 甘いトークは苦手なのよ。
賢人ったら、露骨に言っちゃうんだから、勘弁してほしい。

そういうところは、賢人の言う通り、きっとカタブツの父に似たんだろうな。

完全に奥さんの尻に敷かれている父で、母は仕事に忙しい人だったから、かなり積極的に私と妹の子育てをしてくれた。
立派な教育者でもあり、子煩悩な父だ。
坂上先生と言うのは、その父のこと。

父、坂上聖(さかのうえしょう)は現在母校聖堂館学園の小学部で校長をしている。
もちろん小学校時代、賢人の学年も担任したはずだから、よーく知っているのだ。

「早く食べ終わりなさい。
シャワー浴びる時間あるの?
賢人はここから遠いんだから」

賢人の勤務先は県を跨いでいる。
ここからJRの快速で1時間くらいだろうか。
それからバスで山間部へ向けて30分。

普段は寮生活をしている。
ここからだと早朝に出ないと間に合わない。

大学を出て3年目。
今の勤務先は岩橋屋グループの原点である、岩橋屋旅館だ。
隣県の山間部にあり、風光明媚なとても美しいところ。

賢人は岩橋屋グループの本家に生まれた次男。岩橋屋は長男の理人くんが継ぐことになっている。

岩橋屋グループは旅館業から始まり、関西に数件の旅館とホテルを持っている。

ホスピタリティの高さでは抜群の知名度で、
その中でも、海に面したヘブンリーゲートブリッジホテルはミンシュラン5つ星を獲得している。
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