悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 夢で処刑されたなどという話、ヴィルヘルムはなんとも思わないのだろうか。

「思わない。君がその夢を見たからこそ、母上は命を失わずにすんだのだから」

 ますます強くヴィルヘルムの手が背中に回される。

「これ以上、ひとりで悩まないでほしい。俺が背負える分は、全部一緒に背負うから」

 ヴィルヘルムのその言葉に安堵し――レオンティーナはそっと目を閉じたのだった。

 ◇ ◇ ◇



「君が無事に戻ってきてくれてよかった」

 皇宮の図書館で、ギルベルトと再会したのは、床上げをしてから五日後のことだった。図書館の中での会話ははばかられるため、ふたりは図書館の奥にある小部屋に移動していた。
 図書館には、他にも調べものに来ている学者や役人などがいる。そのため、いくつか設けられている休憩部屋に場所を移すことにしたのだ。

「無事にって……大袈裟ですね」
「心配なものは心配だ。アンドレアスの領地に行くんだから」

 日頃、レオンティーナはこの休憩部屋を使うことはない。図書館を利用する際、食事や休憩は、大公家の部屋でとることにしているからだ。
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