悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 ギルベルトもそれは同じであったけれど、レオンティーナがギルベルトの部屋をしばしば訪れるのでは、余計な誤解を招きかねない、というのが彼の申し出であった。

(……少し、お疲れかしら)

 自分も病み上がりなくせに、自分のことは棚に上げてレオンティーナはそう思った。
 ギルベルトの目の下は、クマが濃くなっている。顔もいくぶんかほっそりしたようで、彼も病気だったのではなかったかと不安を覚えるほどだ。

「でも、最近の君は、焦っているように見えたから」
「ヴィルヘルム様も、同じことをおっしゃっていました」

 無理をしていたつもりはなかったけれど、他の人の目から見たらどこか不自然なものがあったのだろう。ヴィルヘルムに全てを打ち明けたおかげで、気持ちの上では少し楽になれたけれど。

「焦っても未来を変えることはできない。決まった道を歩いていくしかないんだ」

 不意にギルベルトが、そんなことを言う。レオンティーナは目を瞬かせた。
 彼が、こんな気弱な発言をするのは初めてのことだった。

「……そうでしょうか。私は、そうは思いません」

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