悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 空いている部屋にヴィルヘルムを座らせ、レオンティーナは治療道具一式を持って戻った。傷は浅いので、医師の治療を受けるほどではない。
 治療道具を取りに行っている間に、ヴィルヘルムは上着を脱ぎ、シャツの袖を捲り上げて待っていた。

「……気づかなければなんともないのに、気づいたとたん、ひりひりし始めるんだ。何度やっても慣れない」

 ヴィルヘルムはしかめっつらをしているけれど、とても傷は浅い。縫う必要もない。血が止まったら、包帯も外して大丈夫そうだ。

「何度もって」
「剣の稽古だと、こんなのしょっちゅうだ」

 持ってきた軟膏を塗り、布を当てた上からずれないように包帯を巻く。施設を訪れた時に、子供の手当てを手伝うこともあるので、この程度ならばレオンティーナひとりでもどうでもできた。

「……何も知らないのは、私だけだったんですね」

 持ってきた医薬品を片付けながら、ついそんな言葉が漏れる。

「ごめん。君は、ハルディール夫人とずっと一緒にいただろう。だから、君の表情から何か知られたらまずいと父上は判断したらしいんだ」
「その判断は正しい……と思いますけれど」

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