お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

果歩がもっとも聞きたくない言葉だった。
結婚の話は出ていないし、彼と釣り合っているとも思っていないから。

想いは通じ合ったが、結婚となると話はべつ。恋人と夫婦の間には天と地ほどの差があると言ってもいいだろう。
夏江から結婚を急かされると、傷口に塩を塗ったような痛みが胸に広がるのも事実だ。


「彼に近づいたら許さないから」


晴臣に迷惑だけはかけたくない。
めいっぱい険しい表情を浮かべて対抗したが、幸人にはまったく効いていない様子。それどころか逆に面白がっているようにすら見える。


「それは果歩次第だよ。そうされたくなかったら手切れ金を払うか俺と結婚するか」


今すぐ手にできるお金か、銀行のキャッシュコーナーのごとく使える財布をこの先ずっと手にするか。どちらにしてもお金が目当てなのは明白だ。
輪をかけて最低な男になった幸人を悔しさいっぱいに見つめる。

幸人がこんなふうになった原因の一旦は自分にあるのかもしれない。諦めの境地でふと思った。
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