お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
少なくとも付き合いはじめたときは、こんな男ではなかった。果歩が母親のように甘やかし、仕事を辞めてフラフラするばかりの彼にせびられるままお金を差し出したから。だから、半年も前に別れた果歩のところにきて脅しまがいの行為をするような最低の男になったのだ。
「今すぐ答えは出せないだろうから、まぁ少し考えてみて。愛してるよ、果歩」
顔を近づけていやらしく囁いた幸人は、アパートのチラシをわざとらしく手にして出ていった。最後の言葉が果歩の背筋に悪寒を走らせる。
「果歩ちゃん、大丈夫? 今の人、知り合いなの?」
幸人がいなくなったのを見計らい、文代が窓口に顔を覗かせる。心配でたまらないといった表情だ。
「昔の知り合いで。……でも大丈夫です」
文代にも迷惑はかけられない。それに彼女の耳に入ったら、もれなく晴臣にも筒抜けになってしまうだろうから。
笑顔で取り繕い、その場を収めた。