お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
晴臣の合図に文代が待っていましたとばかりに応える。彼女はバッグから取り出したスマートフォンを「あら? えっと、こうだったかしら……」と戸惑いつつ操作した。するとそこから、なぜか幸人の声が聞こえてくるではないか。
『じゃあ、手切れ金』
『……え?』
『それを用意したら関係ないって認めてあげるよ』
数日前に幸人がここへやって来たときに果歩と交わした会話だ。
でも、どうしてそれが文代のスマートフォンから聞こえてくるのだろうか。
「な、なんだよそれは!」
幸人は前のめりになってテーブルを乱暴にドンと叩いた。かなり焦っている様子だ。
「この前あなたがここへ来たとき、果歩ちゃんの様子はおかしかったし、漏れ聞こえてくる話し声が物騒に聞こえたから」
ハードボイルドミステリーが大好きな文代らしい、咄嗟の判断だった。
録音した音声はまだ続く。