五年越しの、君にキス。
『俺はいつでも大歓迎だけど、一緒に寝るのは一応梨良の気持ちを尊重するね。でも、そんなに長くは待たないから』
ここに越してきた日、にこにこ笑った伊祥が矛盾するようなことを言っていたけど、この部屋もバスルームもとても快適だから、当分ここから離れられそうもない。
普段はそんな自室にこもったら、朝までこの快適な場所から出たりしないのだけど……
ジェットバスで肩のマッサージをしながら、今日はずっと伊祥のことが気になっていた。
サイドテーブルに置いたお粥には気付いてくれただろうか。
昼に帰ってきてから、少しは何か食べたのかな。
目を閉じていつものように寛ごうとしても、ライトの明かりに照らされて眠っていた伊祥の顔が瞼の裏に思い浮かぶ。
なぜかいつもより変に発汗してそわそわしてしまうので、早々にお風呂から上がってドライヤーで髪を乾かした。
お風呂上がりのスキンケアを済ましてパジャマの上からロングカーデガンを羽織ると、少し悩んでから部屋を出る。
そうして私が向かったのは、リビングを挟んで向こう側にある伊祥の部屋だった。