五年越しの、君にキス。

ドアをノックすると、さっきは無反応だった部屋の中からごそごそと物音がする。

しばらく待っていると部屋のドアが開いて、そこから伊祥が顔を覗かせた。

「梨良、おかえり」

伊祥が力のない声を出して、ふにゃりと笑う。青白い顔をした伊祥は、まだ具合が悪そうだった。

「卵粥置いといたんだけど、食べられた?」

「うん、ありがとう。美味しかった」

体調不良のせいもあるのだろうけど、いつもより熱っぽい目で私を見つめながら頬を緩める伊祥の表情にドキリとする。

「た、食べられたなら、食器はさげておこうかな」

「ありがとう。悪いけど、入ってもらっていい?」

ドアを広く開けた伊祥に導かれるようにして、部屋に足を踏み入れる。

さっきお粥を運んできたときには気付かなかったけれど、改めて伊祥に通された部屋は、他の部屋と違って彼の匂いで満ちているような気がした。

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