五年越しの、君にキス。
「俺、もうちょっとだけ寝るね」
勝手にドキドキしながら、空になった食器を片付けていると、伊祥がいそいそと気怠げにベッドに戻っていく。
私に背を向けて横になろうとする襟足の毛先が、一部外側に跳ねていて。家でも外でも滅多に隙を見せない伊祥の、無防備な背中に胸の奥がぎゅっとした。
「あの、伊祥?」
「ん?」
思わず声をかけると、首まですっぽりと布団を被った伊祥がゆっくりと私のほうに顔を向けた。
「もし、具合が悪くなったら、夜中でも電話かけてきてね。枕元にスマホ置いて、すぐに起きられるようにしとくから」
私がそう言うと、伊祥が驚いたようにわずかに目を見開く。
それから熱っぽい目でじっと私を見上げてきたかと思うと、布団から右手を出して、おいで、おいでと小さく手招きをしてきた。
なんだろう。
疑問を抱きながらも、片付けかけていた食器をお盆ごとサイドテーブルに置き直して、ベッドサイドに歩み寄る。