五年越しの、君にキス。
付き合っていたときは伊祥と同じベッドで寝たことだって何度もあるし、言葉どおりただ一緒に眠るだけじゃなかった。
だけど、婚約したとはいえ五年も離れていたのだ。
昔のように躊躇いなく同じ布団に潜り込むなんてできない。
「梨良、寒い」
ドキドキと胸を鳴らしながら、本気で困惑していると、伊祥が目を伏せて小さく身体を震わせた。
「変なこと考えてないから、人助けと思ってそばにきてよ」
伊祥が甘えるように私を誘う。
少し青ざめて震える伊祥の唇や私に縋るような目を見たら、心が揺れた。
「今日だけだよ」
そう口にしたのは、揺れる私の心が崩壊してしまわないようにするため。
緊張して眉間に力を入れる私を見上げて、伊祥が嬉しそうに頬を緩める。
「きて」
招き入れられたベッドの中は、既に伊祥の体温に温められている。
けれど、熱がまた上がり始めている伊祥は本当に寒いらしい。
歯をガチリと鳴らして肩を震わせると、私の身体を引き寄せて、足も絡めるようにしてくっついてきた。