五年越しの、君にキス。
「あったか」
伊祥が私の耳元で、そっと息を吐き出す。
熱い吐息とともに鼓膜を震わせた声が、私の背筋をぞくりとさせた。
広いベッドの上で隙間なんてないくらいにぴったりと抱き寄せられて、どんどん鼓動が速くなっていく。
体調の悪い伊祥の湯たんぽ的に抱きしめられているだけなのに。伊祥の熱や吐息や甘い香りを意識して胸を昂らせている自分が、不謹慎な気がした。
できるだけ意識しないようにと思うのに、こんなに全身で伊祥だけしか感じられないような状況で、何の意識もせずにいるのは難しい。
身を固くしてじっとしている私を抱きしめて、しばらくもぞもぞとしていた伊祥だったけれど、そのうちさむけがおさまってきたのか、がっちりと絡まってきていた腕や足の力が緩んだ。
そのことにほっとした私の身体からも、徐々に力が抜けていく。
眠ってしまったらしい伊祥の腕の中で、少し態勢を変えようと動いたとき、不意に名前を呼ばれたような気がした。
起きているのかと思ってそっと顔を覗き見たけれど、伊祥は静かに、浅い寝息をたてていた。