五年越しの、君にキス。
「お父様から出席されるように言われているパーティーなら、私の誕生日なんて言ってる場合じゃないでしょ。真剣にドレス探さないと」
息を吐いて少し気合いを入れると、さっき試着したものよりは色味が明るめの、シルバーベージュのドレスに手を伸ばす。
これなら、色もデザインも、派手すぎないし、露出も多すぎなくて無難かも。
ハンガーに手をかけようとしたら、伊祥がそれを制止した。
「それよりも、こっち着てみて」
伊祥が差し出してきたのは、私だったら絶対に選ばないようなミントブルーのドレスだった。
淡い色だけれど、私がいくつか試着した黒やベージュのドレスよりもずっと華やかだ。
肩に少し袖のあるデザインで露出も少ないし、膝丈で短すぎないスカートの裾はさり気なく斜めに二段のフリルになっていて可愛い。
「これ、色もデザインも可愛すぎない?」
私が着るには少し華やかすぎるんじゃ……
「そんなことないよ。絶対可愛い」
「でも……」
「大丈夫。絶対に一番似合うから」
伊祥が自信ありげに微笑んで、強引にドレスを押し付けてくる。