五年越しの、君にキス。

伊祥が全く譲らないので、私は仕方なくミントブルーのドレスを持って試着室に入った。

本当に、大丈夫だろうか。

不安に思いながら、それまで着ていたベージュのドレスを脱いでミントブルーのドレスを着てみる。

すると、鏡に映る自分の印象がぱっと変わった。

ミントブルーの服なんてこれまで着たことがなかったけれど、ベージュよりもずっと顔色が明るく見える。

ドレスの生地も良いものが使われているのか、滑らかで肌触りがいい。

伊祥にドレスを手渡されたときは、似合うかどうか半信半疑だったのに……実際に着てみると、思っていたよりも鏡映りが良いから驚いてしまった。

「着替えた?」

ついぼんやりとしていると、試着室のカーテンの向こうから伊祥に呼びかけられた。

「あ、うん」

カーテンのすぐ向こうにいる伊祥のことを必要以上に意識してしまって、それを引き開けるのが憚られる。

このドレスを着た姿を見せたら、伊祥はどんな反応をするだろう。
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