五年越しの、君にキス。
「大丈夫?」
「あー、俺は別に。ただの気疲れ」
「どこかで少し休む?」
疲れている様子の伊祥のことが気になるけれど、立食形式のパーティー会場には座って休めるような場所がない。
休めそうな場所を探してきょろきょろしていると、伊祥が私の耳元でクスッと笑った。
「気にかけてくれてんの?」
「そりゃ、まぁ……」
頷くと、伊祥がなんだか嬉しそうに軽く口角を引き上げる。
「用事は済んだし、そろそろ抜けよっか」
「え、いいの?」
「俺の役目はもう終わったし。ちゃんとうちと重要な関わりがある人には梨良のこと紹介したし。あとは会場のどこかにいる兄貴たちに任せとけば大丈夫」
パーティー会場に入る前から、『挨拶回りだけして適当に抜ける』と断言していた伊祥だけれど。本気で挨拶回りだけで抜けるとは思わなかった。
「つまんないパーティーはさっさと抜けて、ふたりで梨良の誕生祝いしよう」
「え?」
確かに今日は私の誕生日なのだけれど。パーティーがあるし、祝ってもらおうなんて考えてもいなかった。