ライオン王子に飼われたネコさん。
怜音に預けられていた時は毎日勝手にお風呂に入ることができたのでそれほど気にならなかったが、今の状態から人間に戻ったら異臭と体のベタつきから逃れることはできないだろう。
最低でもあと二日は怜音が帰ってこない。
五日もお風呂に入れていない状態で怜音に会うなんて、例え猫の姿であっても耐え難い。
(うーん。)
(私が見張ってあげるから、さっさと入りなさい。)
うだうだするマシロに痺れを切らしたルナは優美でありながら有無を言わさぬような笑みで浴室の方向に前足を伸ばした。
ルナには銀が戻ってきそうになったらすぐに知らせてもらう約束をし、真白は今、他所様のシャワーを借りている。
小さな銭湯くらいはある広々とした浴室はただでさえ一般人からすれば落ち着かないのに、今は一段と落ち着かない。
さっき仕事に行ったばかりだが、銀が戻ってこない保証はない。
「さっさと洗ってさっさと出よう」
そう決め、「銀ちゃんごめん!」と謝りながら、明らかにお高いシャンプーやらを使わせて頂く。
怜音とは違ったメーカーで匂いはもちろん違うけれど、いい匂いであることには変わりなかった。