ライオン王子に飼われたネコさん。

ばったり出会してしまうライオン王子と猫さん。


「なるほど、つまりこういうことだね」

紅羽とルナに直結しそうなことは伏せて話したので所々伝わりにくい箇所があったにも関わらず、銀は上手く繋げて要約までしてくれた。

話し始めてすぐは半信半疑だったようだが、話終わる頃には信じてくれたようだった。

真白は銀に感謝しつつ、涙ぐんでいるとどうもおかしな点が一つあった。

「銀ちゃん、どうしてさっきから目が合わないの」

正座して床に座る真白の前で同じく正座している銀はさっきからずっと斜め下の床を見ながら話している。

社交的な彼にしてはおかしな行動だった。

首の後ろを触り、チラッと真白を見て目を逸らした銀は気まずい思いを抱えながら口を開いた。

「黒とはいえ、その……。やましい気持ちとかは全くないんだけど、一応保険として視界に入れないようにしてる」

視線を下にずらし、銀に借りているスウェットを見る。体格差があってダボッとしているし、黒だから肌が見えることはない。

見えはしないが、その下は素肌だ。

かぁ、と体が熱くなる。

「お金は幾ら使ってもらっても構わないから、あと二日とはいえ必要なものは買っておいた方がいいんじゃないかな?」

「う、ううん。一日二時間だけだし、殆ど猫の姿だから」

服を着てもどうせ二時間で猫に戻り、着る物が増えれば増えるほどタイムリミットが来た時に片すのが大変になる。

服を買ってもらうのを辞退し、怜音の部屋のカードキーを借りてペンダントとスマホを取りに行った。
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