ライオン王子に飼われたネコさん。
思考が一瞬にして停止する。
それは真白も"彼"もそうだった。

お互いに固って目を見開いた。


深く、美しい青はそこにはなく、あるのは真白の心を掴んで離さない獰猛なのに綺麗なアンバー。

心臓が苦しくなるくらい暴れ出し、息をすることさえ忘れてしまう美しい男がいる。

叫び出したかった。けれど、声が出なかった。
身動き一つ取れなかった。

真白が人間として怜音本人に直接会うのは約一ヶ月ぶりの事。猫の時よりもずっと近い距離でアンバーを見つめたのはあまりに久しぶりのことだったからだ。


「真白」

戸惑いを含んだ声。揺れる瞳。
真白の前ではいつだって余裕綽々としていた男が動揺している。

呼ばれた名前が耳の中に入り込み、心臓をさらに激しい音を立たせた。

「お前、今までどこに……」

怜音は確かめようと真白の頬に手を伸ばし、ピタリと動きを止めた。

ゆっくりと視線が横にずれた。

彼の視線を追って横を見た真白の心臓は違う意味で音を立てた。

ここは銀の部屋だということに二人とも気づいた瞬間だった。


(……マシロを迎えに来たんだ。)

マシロは今、本来の真白に戻っていて、「マシロを返せ」と言われてもできない。

銀が帰ってくるまで時間を稼ぐ必要があった。


「今日までイタリアで仕事だって聞いてたんだけど、早く終わったんだ?」
< 137 / 137 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる

総文字数/162,231

恋愛(キケン・ダーク)259ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
とある事情で引っ越しを余儀なくされた 大学二年の春 引っ越し先の隣人は とんでもなく美人で天然な妻と イケメンだけど目つきも口も悪い旦那の夫婦 文句なしの美形夫婦だが どこか感じる違和感 それは徐々に強まっていき、やがてーーー。 俺と美形夫婦の二年間の隣人生活。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop