ライオン王子に飼われたネコさん。
スタッと、体操選手が床に降り立つ時のような軽やかな着地。何故かローテーブルがハイテーブルに見える謎。
ここで真白に一つの仮説が思い浮かんだ。
(いやいや、そんな馬鹿な。)
あり得ないと首を振り、怜音が待っている部屋の角へ向かった。
そこには三つ機械が置いてある。
左から水がポコポコと下から湧き出る機械、長方形で下の方にお皿のような窪みがある機械、SF映画に出てきそうな真ん中が空洞になった丸っこいフォルムの機械。
(えーと。これはなんでしょうか?)
隣の男を見上げれば、はぁ、と深いため息をつきながらしゃがみ、一番左にある水が湧き出る機械を指差した。
「いいか?これが、水飲み場」
(水飲み場!?)
給水機のことだろうが、学生以来目にすることはなかったとはいえ、知っているものよりもずいぶん小さい。
「それでこれが餌。時間になったら勝手に出るから」
(あー、だからお皿みたいなのが……って、餌!?)
本格的に嫌な予感が背後からジリジリと近づいており、真白の仮説が現実的なものになろうとしていた。
一番右にある機械に怜音が指を差す。
真白はそれが自分の思う機械でないことを心から願ったが。
「これがトイレな」
(ああああああーーーー!!)
絶望で頭を覆いたくなる。
いや、実際に真白は頭を覆って、本来あってはならないものに触れてしまった。