ライオン王子に飼われたネコさん。

生活面も仕事関係も気にしなくていいニート生活を提供されようとしている。

正直、ここが怜音の部屋でなければ飛びついていたかもしれない。一番ネックで最大に憂鬱な理由がそれなのだから、ひたすらに逃げ道を探してしまう。

彼と一緒にいなくてもいい理由を何か一つでも、と。

それなのに、もう何も思いつかない。


「でも、」

(何か、何かあるはず。)

まだ言い募ろうとする真白に、真白に変身した紅羽が肩をガシッと掴んだ。

「まさか預けられた猫が真白ちゃんだなんてバレっこないわ。ビバ!ぐ〜たら生活!一種のリフレッシュ期間だと思えばいいのよ〜」

(リフレッシュかぁ。)

リフレッシュになるかと言われればNOだと思うが、本人に自覚がないところで私生活でも仕事でも支障を来たすほどぼんやりしていることが最近多かったし、怜音に対する未練が残っているのも認めたくはなくても事実だ。

ここで断ち切らなければ、真白は次の恋は向かえない。

せっかくここまで舞台を用意され、逃げ場はどうせないのならやり切るしか道はないのかもしれない。

グラグラと揺れていた天秤が水平になった瞬間だった。


二度と、彼に囚われることがないようにこれを最後にしよう、と。
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