ライオン王子に飼われたネコさん。
最低でも週に一度か二度は怜音の家に来ていた真白。
洗濯物は山積みどころかリビングのあちこちに散らばっていて、作り置きのご飯を食べてくれるのはいいが洗い物も大体放置されたままだ。
それを毎週片付けていたのは紛れもなく彼女。
その真白は別れを告げた日から一度も来ていない。
キッチンもリビングも片付いているし、寝室も綺麗だった。タオルだって洗濯されている。
(まさか、金髪美女?)
怜音ではないというのは真白の中で確定だったので選択肢は例の彼女しか思い浮かばない。
真白の中で一気に心が冷め、タオルを蹴飛ばしてやりたい気持ちになった。
(なんで私が、他の女が洗ったタオルを被せられなきゃならんのだ。)
イライラする。
けれど、結局蹴飛ばさない。
忌々しく思える柔軟剤の香りと怜音の匂いに満ちたベッドに連れて行かれるのと、どちらが今の真白にとって耐えられないかなんて分かりきったことだった。
絆されてはならない。
真白がマシロとしてすべきことは、彼に対して飽き飽きしなければならないのだから。