ライオン王子に飼われたネコさん。

日曜日のAM7:00。

休みの日なので普段ならまだまだ夢の中なのだが、感覚が人間よりも敏感なせいか物音一つですぐに目が覚める。

怜音が起きてきた。のそのそと歯磨きをしながらキッチンに向かっていく。

朝に誰にも起こされずに目を覚ましてきたことにも驚いたが、どうやら朝食を作ろうとしているらしく、マシロは驚きを隠せない。

彼が歯磨きを終える頃にはトースターが音を鳴らし、ティファールのお湯も出来上がっていた。

マシロは唖然としながらローテーブルに次々に置かれていく朝食を見つめた。

トースト、低カロリージャム、ササミの入ったサラダ、ヨーグルト、コーヒー。

何度起こしても全然起きず、朝ごはんは用意されなければ食べなかった彼が一体どうしたというのか。

隣で凝視しすぎたのか怜音には「お前の餌は向こう」と、リビングの隅に置かれた自動給餌器を指さされた。

(へーへー。知ってますよーだ。)

既に給餌の時間だったのか餌が出てきており、マシロはそれを口にした。

本当は人間なのに猫の餌を食べなければならないことも、後ろで人として人のご飯を食べてる怜音にも悔しいものはあるが、昨日食べてみると案外美味しかったのでいいかという気になっている。

ちなみに、人間の時に興味本位で食べてみると無味かつパサパサで美味しいとは思わなかったけど。

食べ終わると怜音は餌や水の補給、トイレの砂袋を取り替えて砂の補給ときちんと猫の世話らしいことをし、自分が使った食器を洗い始めた。

(今日、大雪なの?)

窓から見た景色は清々しいほど青空が広がっている。

(もしや、私みたいに怜音に変身した誰かとか?)

そうでなければ信じ難い光景だった。

それからも洗濯して乾燥機に入れ、乾いたものを衣装部屋に戻し、掃除機までかけ始める始末。

どれか一つなら手伝ってくれたりもしたが、全部を一人でしてしまうなんて五年付き合っても見たことがなかった。

それもびっくりするほど手際がいい。

(やればできる子タイプなのは知ってたけど、ここまでとは……。え、何。もしかして私がダメンズにしてた感じ?)
< 43 / 137 >

この作品をシェア

pagetop