ライオン王子に飼われたネコさん。

炊事洗濯掃除して朝まで起こしてあげる。

それって恋人というよりも家政婦、家政婦というよりも召使いではないだろうか。

恋人らしいこともそれなりにはしていたけれど、それも都合のいい女だと言われて仕舞えばそれまで。

今更になってそんなことに気づいた。

本当は自分で何でもできるのに甘やかして勝手に世話を焼いて、自分で都合のいい女になっていたのだと。

(うわぁ、ダメージでか。)

だから、他の女に浮気されるのだ。

五年も付き合っていたのは世話を焼いてくれて、都合のいい時に抱けるそんな女だったからだったりして。

そんな虚しいことを考えて、さらに虚しいことを思いついてしまう。

そもそも、付き合っていると思っていたのは自分だけだったのでは?と。

そうなると今まで浮気だと思っていた全てが浮気ではなくなってしまい、真白の思いはどこにも行き場がなくなってしまうのだが。

タオルを片付ける怜音を盗み見る。

現在本気の相手らしい金髪美女が洗濯したわけではないかもしれないことに、ちょっとだけ安心してしまった。
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