ライオン王子に飼われたネコさん。
憎い。

真白お気に入りの(自分では高くて買えない)シャンプーを何プッシュもして泡立てる。

彼には屁でもないことだがちょっとした腹いせに普段は勿体無くて遠慮していたシャンプーもリンスもトリートメントも使ってやると決めた。

薔薇の高貴な香りに包まれる。

その匂いは怜音の匂いとは少し違っているけれど、彼が毎日使っているものではあるので、彼の匂いに近い香りに包まれているようで真白は思わず奥歯を噛み締めた。

「……あれ?」

ボディーソープの液体を出したところで違和感を覚えた。彼の家でこれまで使っていたボディーソープの匂いじゃない。

匂ってみるとドラッグストアに並べられている商品と全く同じものだった。

安価な割に泡立ちがよく、保湿力もあるのでこの商品を長らく使っているヘビーユーザー真白にはすぐわかった。

日本だけでなく世界でも活躍するモデルの怜音は美容に関しては誰よりも手を抜けないが面倒くさがりなので頓着なところがある。

けれどそもそも彼は大財閥のお坊ちゃんなので使うもの全てが高級品だ。

ドラッグストアに売っているようなものを使う人間ではない。

外観はこれまで使っていた真白には手出しできないような代物だが中身は間違いなく真白が愛用しているボディーソープと同じもの。

昨日、ボディーソープが少なくなってきていると感じてはいたがまだ残っていた。

わざわざ中身だけ入れ替えたということだろう。

「なんで?」

真白には訳がわからなかった。
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