ライオン王子に飼われたネコさん。

お隣に預けられる猫さん


「というわけで、五日ほど頼む」

移動用ケージに入れられ、連れてこられたのは向かいの部屋に住む超人気俳優、冬染寺銀の部屋の玄関。

撮影で五日間、イギリスに行かなければならない怜音はマシロを連れて行こうとしたが桃坂からの許可が下りず、全自動式とは言え何が起こるかわからないので猫を飼っていて現在休業気味の銀に預けることにした。

それを真白は今朝知った。

全自動式の機械と何かあった時用のスペアキーを置いて行ってしまった。

「あいつ、俺が仕事だったらどうするつもりだったんだ……?」

どうやら銀は今知ったようだ。

ふぁ、と眠そうにしながら黙々と機械を設置していく銀はなんだかんだで順応性が早い。

一方のマシロは呆然としていた。

怜音と五日も顔を合わせなくていいということと月単位の仕事じゃなくてよかったという気持ちでは最高なのだが、反面、五日も銀と過ごさなければならないということ。

おまけに今ここには服もないし、紅羽から貰ったペンダントもスマホもない。

人間になった時間の計測にあのペンダントは必要だし、スマホは何かあった時の頼み綱だ。

(そもそも、これ、人間になる時間ある?)

怜音は朝から晩まで仕事に行くのでその間の時間は自由時間だったが銀は今仕事をセーブしていて殆ど仕事に行っていない。

初日以降避けれていたトイレ問題とお風呂問題にまたも直面する時が来てしまった。
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