ライオン王子に飼われたネコさん。
いつのまにか怜音は長いまつ毛を伏せて眠っていた。
起きている時の獰猛さは影を潜め、今はただ静かな美だけがそこにある。
真白は呆れたようにため息を吐いた。
(暖かくていい匂いに合致する人がいるでしょうに。)
本当なら写真の女性を連れてきたいところなのだろうが猫に頼らざるを得ないほど、今はマスコミの目が厳しいのかもしれない。
(……早く指輪を渡せるといいね。)
本当はそんなこと思いたくないけれど、このままでは怜音の健康面が心配だ。
一人で何でもできるということは分かったけれど、朝食以外はどうしているのか、眠れないとはどれくらい眠れないのか、心配なことが増えていく。
いつか体を壊してからでは遅い。
どれだけ憎たらしくても、彼が不幸になることは望んでいない。
幸せを心から願えるかと言われれば別ではあるけれど、幸せになってほしいという気持ちはある。
トクトクと聞こえる心臓の音と規則正しい寝息。
怜音の匂い。
猫の五感は人間の時よりも一つ一つが嫌になる程敏感でマシロは今日も眠れない。