ライオン王子に飼われたネコさん。
二匹の間に沈黙が流れる。

猫がどうやってコミュニケーションを取るか分からないマシロ。人間世界ならばマシロから挨拶すべきなのだが猫界ではどうなのか。

(会話できるのかな。)

(できるわよ。)

透き通るような声にギョッとしてルナを見る。まるで紅羽のように鳴き声なしに意思疎通をしていた。

(驚いた?)

(そりゃあ驚くにきまって、ますよ。)

思わず敬語になってしまう。

(このままじゃ銀に怪しまれちゃうわね。ついて来て!)

今ではわざとらしく思える「にゃあ」という鳴き声と共に軽い身のこなしでキャットタワーの上部にある部屋の中へ入っていくルナ。

真白はそれなりに運動神経が良く、木登りもできる。

けれどそれは人間の時の話であって猫になってからは高いところに登ったことがない。猫としての身体能力がどれくらいのものか分からなかった。

取り敢えず手前の小さな段から少しずつ登って行こうと足をかけた。

二つ三つの足場は手足が届く範囲だったが、最後の足場がどう頑張っても飛び越えなければルナのいる部屋には辿り着けない仕様になっている。

下を見れば結構な高さだ。

猫の柔軟性を信じたとしてもこの高さからもし落ちたら、と思うと足がすくんでしまう。

「ルナのところに行きたいの?」

銀に思わず頷きそうになってしまったが、何とか堪えてルナがいる方へ「にゃあ」と鳴いた。

優しく抱き抱えられてルナのいる部屋に到着。

(気が利く男でしょう?)

得意げなルナに激しく頷いた。
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