ライオン王子に飼われたネコさん。

この世界は案外ファンタジーに溢れていることを知る猫さん


結論から言うと、ルナは魔女で紅羽の友人だった。

魔女は生まれながらに自分の魂の性質に似た動物があり、その動物には魔力なしに変身することができる。

魔力が底をついて命の危機に晒された時や、魔力消耗を防ぐときなんかに変身することが多いという。

紅羽は黒猫、ルナはロシアンブルーの性質に近いということだ。

真白はそこで紅羽が怜音の家に遊びに来た時に紅羽が黒猫だったのはそういうことだったのかと気づいた。


魔女も魔法も小さい頃の憧れだったが、大人になるにつれてそんなものは現実には存在しないのだと思うようになっていたのに、この世界は案外ファンタジーに溢れているらしい。

かつて魔女という存在が嫌悪され、魔女狩りという悲惨な歴史があったことから表舞台から姿を消し、力も血も薄れてしまったがひっそりと魔女はこの世界に溶け込んでいる。

ルナ曰く、「ちょっとだけ特別な力を持っていて、ちょっとだけ人より長生きなただの人間」が普通の人間と同じように暮らしているだけだそう。

(いや!あなた今、猫として過ごしてますよね!?)

マシロのツッコミにルナはふふっと笑って、なぜ銀に飼われているのかを説明した。

ちょうど一年前。

紅羽の店で呑んだくれていたところ、うっかりロシアンブルーに変身してしまい、たまたま店に遊びに来た銀がルナを気に入ってしまった。

魔女特有というべきか、紅羽もルナも面白いことが大好物で面白半分で銀に身を預けて今に至るという。

(思っていたよりも居心地が良くて気づいたら一年が経ってたのよね。……ぶっちゃけ、働かずして楽を得れちゃうこの生活を手放すのが惜しくて。)

(……ぶっちゃけすぎでは?)


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