ライオン王子に飼われたネコさん。
ふふっと笑って「冗談よ」と言うが、優雅な所作に隠れて怠惰な姿勢が時折垣間見えるところをみるとあながち冗談でもないだろう。
(いつまで飼われるつもりなんですか?)
猫の寿命は長くても二十年くらい。
いくら銀との生活が居心地が良くても、まさか残り二十年近くを猫として過ごすとは思えない。
(……もうすぐ面白いことが起きるからそれまでかしら。)
(面白いこと?)
(そう。銀にね。それを見るのが楽しみで側にいるの。)
魔女は面白いことが好き。紅羽もルナも面白いことのために行動している。
(……やっぱり面白がられてたのか。)
紅羽の言動と彼女の恋愛ドラマ好きから考えれば彼女が面白がっているのはすぐに分かることだが、怜音の側にいることで惨めさと苦しみを味わっている真白からすると面白くはない。
(あら、勘違いしないで。紅羽も私もハッピーエンドが好きなの。バッドエンドはお断り。誰かが不幸になる姿は大っ嫌い。)
おとぎ話の意地悪な魔女じゃあるまいし。
そう付け足して、ルナはニヤリと笑った。
(私は紅羽みたいに莫大な魔力があるわけじゃないけど、その代わり、先見の力があるの。もちろんその力は絶対じゃないから百%当たるわけじゃない。でもね、紅羽が干渉していなかったらあなたが本当の幸せを得る未来はなかったわ。)