ライオン王子に飼われたネコさん。

本当の幸せとはどんな未来なのか。

その質問に未来を教えることはできないからとルナは答えてくれなかった。

怜音に対して未練があったから紅羽に唆されて契約を交わし、猫になってしまった。契約破棄をするためには怜音への未練を断ち切り彼にキスをしなければならなくなった。

しかし、それによってルナの言う真白にとっての"本当の幸せ"に近づいている。

怜音への未練を断ち切ることができたらそれが幸せにつながるのか。

(私の本当の幸せってなんだろう。)

険しい顔のマシロにルナは優しげに薄いグリーンの瞳を細めた。

(たくさん考えて向き合えば、自ずと答えが出てくる筈よ。少なくともこの五日間は何もすることがないでしょうから考える時間はたっぷりあるわよ?)

そういって、さっきまでの優しげな瞳にニヤリと不敵な笑みを付け加える。

(……あの、銀ちゃんは一日にどれくらい家にいます?)

(ほとんど一日中よ?大体、映画やドラマを見るか、小説を読むか。そんな感じで過ごしてる。)

キャットタワーから覗いてみるとリビングにある巨大なテレビ画面を真剣に見つめる銀の姿があった。画面には去年大流行した恋愛ドラマが流れている。


(人間にはなれそうにないかー。)

がっくりと項垂れるとルナは察したのか背中にポンと前足を当てた。

(慣れちゃえば平気よ。)

最低でも二週間以内には人間に戻るのだから慣れたくはない。人間に戻ったら怜音や銀に世話をされた事実を抹消したいくらいだ。

(まぁ、どうしても無理って言うならスリルと隣り合わせにはなるけど今とかチャンスじゃない?銀は一回集中したら集中が切れるまであんな感じだし。)
< 85 / 137 >

この作品をシェア

pagetop