ライオン王子に飼われたネコさん。
(厄介な男を愛してしまったものね。)

(……本当に。)

優しさなんて時折で、浮気はしょっちゅう。
真面目とは縁遠い世話が焼ける怠惰な人。

「愛している」と言われるどころか興味を持たれているかさえ怪しい。

そんな男を今でも好きだと思う自分がおかしいと思う。

いつの間にかキャットタワーから降りてきたルナが部屋の隅に置かれたクッションを前足でたしたしと叩いてマシロを呼ぶ。

銀の膝をすり抜け、ルナの隣に腰を下せば「仲良くなるの早いなぁ」と一枚、スマホで写真を撮られた。

猫とはいえ、本来は全裸と同じなので一瞬ドキリとしたが、このまま後数日何事もなく過ごせばただの猫の写真だと思うことにした。

(……ルナさんも今も服を着てるんですよね?)

(もちろんよ。)

紅羽が猫になって訪問してきた時はきちんと服を着ていたのでそうかとは思っていたが、改めて聞かされるとなんて不公平なのか。

少しだけ不貞腐れるマシロをルナはクスリと笑った。

(ねぇ、興味本位だから答えたくなかったら答えなくてもいいんだけど、彼とはどうやって出会ったの?)

(……全然ドラマチックな感じじゃないですよ?)

(私からすれば芸能人に出会すことすら珍しいのに付き合えるなんて、それだけで十分ドラマチックで興味があるけど?)

ここは紅羽のバーではない。
お酒はないし、それらしい雰囲気もない。

けれど、魔法でも使ったのか、それとも彼女たちが持つ特性か。

聞いて欲しい、話したいと思わせる何かがある。

怜音と出会った頃を思い出すように目を閉じた。
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