翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「彼はお隣さんなんだ。ただの幼なじみだよ」
「ふぅん」
言葉にすれば自覚も芽生える。
「平澤さん傘ないんでしょ?一緒に帰らない?あっ、でも俺も傘ないんだった」
外ばかり見てた私は、雨が弱くなるのを待ってるように見えたんだろう。
「……岡崎君は濡れるの嫌い?」
代わりにそう言ってみた。
「いや、全然平気。むしろ好きかも。
でもなんとなく女の子を濡らしちゃいけないような気はするよね」
そっか。男の子ってそんなふうに思ってるんだ。
「よかったら一緒に濡れて帰る?」
俯いてしまったら、岡崎君はそんなふうに優しく誘ってくれた。
「いいの?」
嬉しくなって、急いで教科書を鞄にしまった。