翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「どんだけ腑抜けなのよ、奪い取れ、好きなら姉からでも奪い取らんか!」


「何熱くなってんだよ、テンションおかしいぞ」


「よその男の服着てるのが気に入らないなら剥ぎ取ってしまえよホトトギス!」


「だいぶ字余りだろそれ」


なんて突っ込んではみたものの、この人美緒から話を聞いたんだと確信した。


なんでだよ、
この人にだけは話しちゃダメなのに。


「じゃ、私出掛けるね」


フンと顔を背けて玄関に向かう姉貴を慌てて引き留めた。


「ちょい待て!言ってる意味が全然まったくわかんない」


「ふたりが付き合い初めてほんとに嬉しかったのに」


烈火のごとく怒っていたはずが、もはや姉貴は半泣き状態だった。


「そんなんじゃ美緒ちゃんは持っていかれるね、岡崎って子に」


俺の大嫌いな単語、岡崎。


「美緒ちゃんには男気のある岡崎君の方がふさわしいし、もう手を出されてるに決まってんだから。弱虫は潔くさっさとフラれろ、じゃあね」


今、手を出されてるって言った?
フラフラする。
頭んなかが、まっしろ。

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