夜のすべてでずっとすき
例え話を、さっき、言われた時。
もし、だったから。内容が告白だったから。
ほんとうに例え話だったなあと思ったんだ。今日という限られた時間では、きっと、言われないだろうと思い込んで。
かなしくて、くるしくて、いたい。
いつも通りに接しきれなくて、ごめんね。
ごめんなんて浮かべて、ごめんね。
「おれ、離れたくないよ」
「じゃあ、連れてって」
速水に遮られたこと、こんどははっきり、言っちゃった。言っちゃだめだったのに。
「……なんでもない」
下げられた眉を見て、瞳が透かす、奥の夜空から目を逸らした。
「言っちゃったら、一生、おれの呪いにかけちゃうかなって」
連れて行ってしまいそうで。
「こわくて」
言えなくて。
「でも、おれ、言わずには行けなさそうで」
ごめん。
言って。
くちにしたら、吐いた息の白さに目が眩んだ。
わたしは、どれだけにゆがんだ白をしているのか。
それなのに、白以外には染まれないのか。