獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!
「これ! マクシミリアン陛下を呼び捨てにするなんて罰当たりだよ! あのねぇ、陛下は国が冷夏に悩まされるずっと前から農業支援に力を入れておられたんだ。反対派を根気強く説得して予算を確保し、国家主導で品種改良や土質改善に努めた。このじゃがいもは、その成果さ。さては兄さん、顔も舌もいいけど頭はからっきしだね」
 店主はマクシミリアン様の功績を朗々と語るのだが、目の前の相手が隣国王だとは夢にも思っていない彼女は、ガブリエル様に不敬極まりない発言を連発している。
 私は青くなってガブリエル様へと視線を移した。ところが、当の本人は気を悪くした様子もなくジッと店主の言葉に聞き入っていた。
「じゃがいもだけじゃない。他にも主要穀物を中心に多くの成果が実を結んでいるんだ。マクシミリアン陛下は本当にたいしたお方だよ。あんたもね、プラプラとほっつき歩いてばかりいないで、ちょっとは陛下を見習って勉強おしよ!」
「はははっ! 少なくとも今日の其方との会話は、卓上で報告書を読むよりよほどいい勉強になった」
 ガブリエル様は店主に高らかに笑って答えた。
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